選りすぐりの転職 看護師
本国やほかの外国でヒットした商品、それによって得られた潤沢な資金、優れたマーケティング理論、使命感に燃えた責任者を派遣するなど、まさに「鬼に金棒」の状態で進出いわゆる「モノ、カネ、ヒト」が必要してきたのである。
唯一の不安材料は複雑怪奇といわれる日本の流通機構と異文化であった。
異文化の人間を社員として使うのか使うべきでないのか。
成功するのか、失敗するのかわからないが、失敗した場合のリスクはなるべく小さくしたい。
「モノ」や「カネ」は簡単に処理できるが、人権を重んじる欧米文化においては「ヒト」の扱いは厄介だ。
下手に対応すると告訴され、裁判沙汰となり労働争議に発展し、莫大な損害をこうむる恐れがある。
したがって「ヒト」の採用には慎重ならざるを得ない。
だから、「ヒト」にかかわる業種の従業員はなるべく直接採用しないほうが良い。
ロイヤリティがあり成果をあげてくれれば、直接雇用しなくてもよいではないか、社員は「結果」がすべてであると外資系企業は考えたのである。
中国のある大政治家は「黒い猫でも白い猫でもたくさん鼠を捕る猫は良い猫だ」と言った。
これは至言である。
外資系企業が日本市場へ進出してきてわずか五十余年のあいだに、日本人の衣・食・住はすっかり欧米化してしまった。
着るもの、食べるもの、飲みもの、日用品や住宅まで、古来からあった日本の文化や伝統的なものが次第に姿を消してしまった。
今、どこに日本文化があり日本的生活様式があり、日本的情緒があるのだろうか。
まだかすかに残っている日本的な生活様式、思考も礼儀もいつかは消えてしまうだろう。
外資系企業はこれほど見事に日本を占領し、しかも押さえたのである。
外資系企業の日本マーケティングは大成功したといってよい。
これはやはり「ヒト」の使い方のうまさに尽きると思う。
「ヒト」はやり甲斐のある仕事、誇れる仕事、高い収入に魅力を感じるのだ。
外資系企業は「そんな仕事をやらせてくれる」のである。
商品にも自信をもち、豊富な資金を使わせてくれ、思い切った大きな仕事に取り組むチャンスを与えてくれるので、志のある者、意気に感じる日本の男は、自分のプライベートな時間も惜しんで働く。
日本企業にとって、「営業と販促活動」は企業の生命線であり、他人の踏み込んではならない聖域といわれてきた。
外資系企業にはそんなタブーはない。
誰であろうとスパイや敵ではない以上、信頼して仕事を任せてくれる。
それも大きな権限まで与えて仕事をさせてくれ、結果良ければすべて良しという態度なのだ。
外資系企業には「契約」の概念が強いことも忘れてはならない。
契約こそ相互信頼の基本であり契約を守ることが前提条件である。
契約通り問題なく業務が終了すれば信用は保持され継続される。
契約とは約束事なのだ。
欧米人の契約に関する考え方は、日本人の想像以上に厳しいものがある。
お互いの信頼のためにはなくてはならないのは契約の取り決めであり、契約書という文書である。
すべてのことがこの契約書によって確認され遂行される。
「営業と販促活動」という外資系企業にとっても日本企業にとっても死活的意味をもつ業務も、しょせん「ヒト」が実行するわけである。
「ヒト」を管理するのに正社員でなければ管理できないだろうか、ロイヤリティが確認できないだろうか。
そんなことはない。
「ヒト」は誰でも自分の人生を生き、その過程で家族を養わなくてはならない。
正社員だから企業へのロイヤリティが高く、必ず良い結果を出す人ばかりではないだろう。
正社員でも病気になるし怪我もする。
いろいろな事情や都合で会社を退職する。
優秀な人でもいつまでも会社に在職してくれるという保証はない。
どんなまた逆に、正社員といえどもすべての保証を会社がしてくれるわけではない。
むしろ正社員として雇用したとたん、その社員に対して会社はすべての負担を負うことになる。
だからといって恩恵や見返りは期待するべくもない。
自分のもらう給料や経費を稼ぎ出せる社員が何割いるだろうか?百人に一人くらいしかいないという経営者もいるほどである。
またそんな意識をもっている社員すら珍しい存在である。
有名会社、大企業に就職したとたん、社員はただの「金喰い虫」になってしまうのである「金喰い虫」ばかり増えると、会社の利益はたちまちのうちに喰い尽くされる。
社員として採用するのは会社のために働いてくれる人のことだ。
会社のためとは会社にいなくてはならない存在価値のある人、言い換えれば有能かつ誠実で、さらに「稼いでくれる」社員のことをいうのである。
今、社員に質問してみよう。
「あなたは自分のもらっている給料分(賞与や経費も含めて) の稼ぎをしていますか」と。
「はい」と答えられる人は貴重な人材である。
「あなたは自分の存在が会社にとって必要不可欠で、余人をもってかえ難い仕事をしていますか」と。
「はい」と答えられる人はリストラされることはない。
「あなたの稼ぎで何人の社員を養っていると考えられますか?」「5人以上です」と答えられる人は幹部社員に登用して良い。
社員として採用する目的は、まず第一に「稼げる社員」であり「存在価値の高い社員」である。
正社員となると恵まれた条件と環境の中にいることに、ついつい安住して、会社の期待から遠い存在になっている人がいる。
あなたはそんな人ではないと思うが、どうだろうか?正社員だからモラルやモチベーションが高く、責任感と克己心の強い人だと錯覚してはいないだろうか。
「営業と販促活動」を担当する社員にはとりわけ「稼げる社員」「存在価値のある社員」であることが要求されるのである。
これを正社員に期待し、求めてきたのが今までの会社の営業社員であった。
だが、暖衣飽食の時代、誰が好きこのんで辛い「営業と販促活動」の業務を望むだろうハングリーな精神、不屈の闘志、やり遂げようと決意する熱い思いは営業の好きな人しか出来ないのである。
営業業務を誰もが出来ると思い、社員のトレーニングの一環として経験させるくらいの感覚である現在の営業マンの人々に、営業のプロを目指す人が出ないのは当然だと思う。
「営業と販促活動」はそんな単純で一過性の仕事ではないのだ。
仕事の中でももっとも厳しく、もっとも責任感と熱意が要求される。
まさに「仕事の究極」なのである。
企業の生命線、いわゆる「売上げ」といわれる「営業と販促活動」こそ、社員のなかでも精鋭中の精鋭を投入しなければならないのに、「営業と販促活動」に対する重要性がわかっていない。
高度経済成長期のように市場が商品を欲しがり、供給さえすれば文字通り飛ぶように売れた、売る苦労もなく、ただ出荷手配をしていればよかった良い時代の感覚で、過剰供給と需要減退の今日の「営業と販促活動」をおこなっているのではないか。
指導すべき上司、先輩はその当時の高度経済成長期に営業畑にいた人だとすると、極言すれば本当の営業の苦労を知らないのである。
営業ではなく配給屋になっていたのではないか。
出荷の割り当て、配給が主な仕事だったのである。
そのため、外部に出て営業の基本である人脈をつくらず、信用を築き上げる努力もしなかった。
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